経産大臣指定伝統工芸品「駿河竹千筋細工 」製造販売、各種工芸品 民芸品 卸
有限会社 竹工房はなぶさ
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駿河竹千筋細工について
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(有)竹工房はなぶさ 担当 黒田雅年。  
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「駿河竹千筋細工」ができるまで

伝統工芸品「駿河竹千筋細工」の技法を紹介します。

昔は、同業の人が入ってくると、親方が弟子に「手を止めろ」 と怒鳴ったそうです。一般の方にも、絶対に見せない、かなり閉鎖的な世界だったようです。

今では、職人さんたちは、和気あいあいと集まって研究会を開き、 それぞれの技術を交換しあうことで、よりよい作品が生まれています。
また、竹細工などの実演や、体験教室も年に数回開かれ、 一般の方々にも親しまれています。工程は、大変多く道具も必要です。


1.竹材の仕込み


竹材

駿河竹千筋細工の材料は、真竹、孟宗竹(もうそうちく)です。
真ん中の真竹は、節と節の間が長くて、またやわらかく加工しやすいです。
右の孟宗竹は、かたいのですがあつみがあります。この両方を使う場所に合わせて、使い分けています。

生の竹は腐りやすいので、油ぬきということをします。
真竹も孟宗竹も切りたては左のように青いのですが、大きなかまで煮て、何日も干して乾燥させると黄色っぽくなります。こうなると加工しやすくまた長持ちしますよ。

写真左、竹取。

この作業は、私達はしません。山の専門家にお任せします。竹林に印を付けて、3年目のま竹、孟宗竹を、毎年9月下旬から12月の水分の少ない時期にとります。虫もつきにくいいんです。山から、竹をおろして来るのは、大変な作業ですね。
時々、曲げ加工の途中で、バシバシと折れてしまう竹があります。4年以上経っているのではないかと思われます。
竹は、木と違ってたった3年で使える環境に優しい材料ですね。

写真中、油抜き。
山でとった竹を、苛性ソーダを入れた100度の熱湯で15分間煮て、表面の汚れ、油を取り除きます。
青竹は、色もさわやかでとても良い香りがしますが、油ぬきをしないと腐りやすいんですよ。ご家庭で竹細工をするときも、おなべにお湯を入れてグツグツと15分ほど煮て下さいね。
また、火にあぶって、ジュージューと出てくる油を布で拭き取るという方法もあります。どちらの方法も、油臭いので換気をよくして始めて下さいね。

写真右、乾燥。
山頂に運ばれた竹は、20日から1ヶ月間、天日で乾燥させます。油ぬきをしたばかりの竹は、まだ青さが残っていますが、次第に表面が象牙色に美しくなっていき、それぞれの工房に運ばれます。
木材ですと、しばらく寝かせたりするようですが、運ばれた竹は、すぐ使用できます。新しい竹の方が、スパン!と割れ、クルクルとよく曲がるようです。


2.ひご作り

「駿河竹千筋細工」の特徴であるひご作りについて説明します。

ひごは、別名千筋と呼ばれますが、これは、畳の幅3尺(約90センチ)に1000本並ぶほどということだそうです。鳥かごや虫籠を作ったとき鳥の羽根や鈴虫のひげを痛めないようになっています。
今では、繊細なデザインの基本になっていますよ。

実演をしていると、50代以上の方によく、「おれも若い頃よく、鳥籠を作ったなあ、ひごもよく削ったよ」と言われます。聞いてみると同じような作り方をしています。昔は、身近な金物屋さんなんかで、ひご作りの道具も売っていたようですね。

うちの工房にも、弟子が入りましたが、ひごづくりから覚えます。
削ったり割ったりと、基本的な作業を覚えますが、削るのには、刃物を研がなければなりませんね。
この研ぎが難しいんです。自分にあった刃物は、とてもよく切れて、削るのが楽しくなります。へたに研ぐと、竹は切れずに、息が切れます。(^^;
私もまだまだ未熟で、父が研いだ刃物にはかないません。

写真左、割り
ひごを作るときは、青竹の方が軟らかくて、良いようです。
竹の表面は、傷や汚れもあるので、皮をけずります。
けずったら、竹を1センチくらいの幅に割ります。竹は、縦の繊維が強いので、鉈(なた)でパン!と簡単に割れます。勢いよくやると、竹を持っている左手を叩くときがあります。刀とちがい指が吹っ飛ぶほどではありませんが、かなり痛いです。最初は、軍手をすると良いかもしれませんね。なお軍手の上から叩いても、結構痛いですよ。気をつけて下さいね。
弟子の修行は、最初は、この材料取りから始める場合が多いですね。小刀や鉈の使い方、研ぎ方を覚えます。私も3年以上、割っては曲げ、割っては曲げ、を繰り返しました。

写真中、へぎ
竹は、外側の皮に近い部分が強いので、ひごには、そちらを使います。
竹を持つ手と、鉈を持つ手のバランスで、へいでいきます。真竹だとピシピシパン!とリズミカルにへいでいけますが、孟宗竹は、ネチネチとする場合が多く、苦労します。

写真右、厚み決め。
せん台という道具で厚みを決めます。編む竹細工の方もこの道具を使い、「へご」という、平べったい材料を取るようですね。

写真左、小割入れ。
二本の刃をたて、細かい切り込みをいれます。熟練するとスッスッスッといきます。慣れないと曲がったりしますね。刃を立てるのは、危ないのでカッターの刃と釘で代わりにしたりもしていますよ。

写真中、くじき。
切り込みを手で押し込み竹を切り裂きます。言葉では、説明しにくい技です。
この作業は、小学校の竹細工教室で一番人気があります。手品のように見えるようですね。

写真右、ひご引き。
小さな穴に通します。穴は、太い物から、細い物までいろいろあり、荒引き、中引き、仕上げ引きとだんだん細い穴に通していくと、きれいな丸ひごができます。まっすぐ引っ張らないと丸くならずにおむすびのようになったり、途中で切れたりしますよ。

ひごづくりは、ここまでです。
今は、すべて手作りと言うことではなく、機械で通す場合も多いです。でも、極細なや丸ではなく平べったいひごなどは、手で引きます。手引きのひごの方が、少し角が残るのか、キラキラする感じです。



3.組 立

写真左、輪作り。
竹を、細く割り、薄くするところまでは、ひごづくりと同じです。その竹をしたあつく熱した管(胴乱)に巻き付けて曲げます。石油コンロを抱いている状態なので、冬は暖かくてちょうどいいですが、夏はたまりません。我慢会のようですよ。

約30秒間曲げたあと冷ますときれいな丸ができます。この道具は、昭和になってからできたそうで、明治時代の菓子器がうちにあるのですが、丸がでこぼこしています。昔は、胴乱を使わずに半月型のこてで、少しずつ曲げていったそうですよ。 

写真右、穴開け。
竹には、曲げる前に穴開け用の印を付けておきます。その印を見ながら、ボール盤という機械を使い、1本1本あけています。
単純な作業なので、自動機械でもできそうに感じますが、作品により、それぞれ輪の大きさがいろいろありますので、自動の機械を作るのは難しいんです。

以前、電気ガサをたくさん作っていた時期があって、自動穴あけ機が発明されたことがありました。うちでは使わなかったのですが、使った職人の中には高価で採算がとれないうちもあったようです。その後電気ガサが売れなくなるとその機械は使い物にならなくなってしまいました。
輪の大きさに合わせて作品を作るのでなく、作品に合わせて輪を曲げていきますからね。
このように自動機械というのは、同じ製品をたくさん作るときには効果がありますが、「駿河竹千筋細工」のようにいろいろな作品を少しづつ作るのには、高価なばかりであまり使い物にならないようです。

そういうわけで、大事な所は、微妙な調節ができる手作業でやっています。穴あけも微妙な角度の違いで作品の雰囲気が変わってきます。楽しいですよ。
もちろん気持ちもこもりますし。「この製品は、どんな人が使うのかな?」と思うと楽しくなってきます。
これからいい機械ができても、きっと補助的に使うだけで、専門に任せることはないと思います。

写真左、ひご曲げ。
ひごは、まとめて30−40本曲げます。熱くした電気ごてに当てて曲げます。こての大きさ、曲げる角度を工夫していろいろな曲げ方ができます。

40年ほど前には、この電気ごてがなくて、七輪に炭火をおこし、こてを3本ほど入れて、熱い物から使い、冷めたら交換して曲げたそうです。今のように熱が一定しないので、苦労したでしょう。

写真右、ひご差し
1本1本丁寧にひごをさして完成します。穴開け、ひご曲げなどがしっかりしていると、きれいにさせます。

こうして、作っていきますが、一つ一つの段階がとても大切で、その前の段階がうまく行っていないと、形がしっかりできなかったり、作っているうちにどんどんはずれてしまったりします。